スピノザ『エチカ』の精神と「曼荼羅的思考」

 

『エチカ』(岩波文庫 畠中尚志訳)からすると、

神=実体=自然というものだけが永遠無限なのであり、人間はそのうちに現れた様態でしかなく、また各人は無数の違った原因と結果の集合体だから様々に違うのが当然であると。また、第4部定理18の備考のなかに、「人間にとって人間ほど有益なものはない」とあるように、人間にとって、共通する要素が最も多い集合体である人間と協調するのが一番良いと教えてくれています。

 

「曼荼羅的思考」は、観蔵院住職(元大正大学学長)小峰彌彦氏が唱えられておられます。

『曼荼羅入門』(角川ソフィア文庫 小峰彌彦著)に、「釈尊が悟ったものは縁起する全存在のあり方であり、宇宙の仕組みの根源です。・・・密教では「大日如来の営み」と捉えます。」とあります。『エチカ』の神即自然は縁起する全存在とも考えられるかも、と思いました。胎蔵曼荼羅は縁起する全存在(=大日如来)が様々に姿を変えて様々な働きを表しているとされ、それは、あらゆる存在が上下差別なく活動している様を表現しているとも考えられると。小峰彌彦氏はここから、各存在は平等であり、違いを違いとして認めながら協調することで世界は平和になる、この「曼荼羅的思考」を見出されました。

 

この2つの精神を忘れずにいたいと思い、そしてそれをバックボーンと考えております。