『テクノ封建制』(ヤニス・バルファキス著/集英社シリーズコモン)を読んだ。まあ我々は既にやられっぱなし、という感想を持った。知らずに農奴状態であり、今後もさらにクラウド領主のためにせっせとネットにアクセスする。やれやれ。Amazonで買いたいものを検討したり、アマプラで映画を観たりすると、メールで、あなたに興味のありそうなものとして色々提案してくれる。(Gmailのプロモーションメールはそれ以前に実にうっとおしいが致しかたないのか・・・)google検索しても、検索傾向は筒抜け。ポイントのために何かの会員になると購入情報はすべて蓄積されデータとして売買される。昔、Tポイントカードが出た頃、こんな恐ろしいものは絶対使いたくないと思っていたが(今も持っていないけど)、ネットでサイトを閲覧するだけで個人情報を渡しているような現在、ジタバタしてもしょうがないのだろう。旧twitterで、この広告に興味がない、とポチっただけでこれもまた情報だ。ヒエー。
といいつつ、twitterは好きでよく見てるのだけど、2か月前くらいか、岸政彦氏が『あたらしい家中華』(酒徒著/マガジンハウス)という本のレシピは全部作ってみたい、ということをtweetされていたのを目にした。早速本を購入し、いくつか作ってみた(2023年10月発売の本でものすごく売れた本らしいのだが、この氏のtweetで初めて知った)。連れもいくつか作って、二人して家中華を堪能している次第。最近ふと、酒徒さんの使っている道具紹介のページで、中華鍋は山田工業所の鉄打出木柄中華鍋)とあったのが気になって、ネットで検索。検索すると合羽橋のヤマヤ商店がトップに来た。そこにはこの中華鍋の紹介が。おお、これは相当凄いぞと思う(後でわかったが、中華街では8割の店で使われているらしい)。そして早速合羽橋、ヤマヤ商店へ。メイン通り、外人さん凄い。。。購入しました。鉄打出し平底片手鍋木柄付(板厚1.2mm)。空焚き必要。
空焚きはヤマヤ商店さんでアドバイスを受け、ネットでも調べた。センサー付きガスレンジでは無理なので、カセットコンロでやったけど、中々大変だった。カセットコンロで空焚き、気をつけないとね(危険行為)。その中華鍋で改めて作ってみたら、これが素晴らしい。前の中華鍋と全然違う!焦げ付きがほぼ無いし、1,2mmの鉄板は軽くて良い!!ということで大満足です。
これを例えばamazonとかで購入すると、そのデータに基づいて、確実に色んな中華鍋やらなんやらを、ご興味がおありですかと紹介してくる。ええいもう買ったっちゅうに!アルゴリズムで紹介してくるものが買ったものや調べたものからのデータなんで基本は過去データ。当人にとっては退屈なデータだ。(余談だが、何でもいいが、テレビも映画も商品もヒット作の後追い作品が退屈なのも同じかな。)
確かに、twitterで岸氏のtweetを目にし、ヤマヤ商店をネットで見つけた。これで誘導されたとは言える。ここからは自分の足で向かい、発見し、お店の人から「手造りで同じものはないので平底の大きさも違うから比べて好きな方を」と言われ、手にしたり眺めたりした。身体を伴った活動によって購入したものなので、なんだか嬉しさが違うような気がする。空焚きも苦労してやると余計愛着が湧く。身体感覚、大事だ。
ここで思うのだけれど、もしもtwitterで岸氏のtweetを見た、という情報から、山田工業所の中華鍋情報ががメールで来たりすると、こりゃもう別次元のアルゴリズムだすね。これは恐怖だ。本人も気づかない傾向、無意識の先取り的なアルゴリズム。本人の性向そのものが形成される。。。
SFの世界なのかな。いやはやネットはほどほどに、そして街に出よう。