『政治はケンカだ!』(泉房穂/講談社)を読んで

 いやー、何度も頷きながら読んだ。ここのところ、日本の閉そくした状態が息苦しいなあと感じ続けているので、その理由の一端が鮮明にわかってとても有難い。既得権益層がいかに日本を酷いものにしているか。自民党、経済団体、宗教団体、官僚、マスメディア・・・。国民をないがしろにしていることに絶望するね。マスメディアについては特に言いたいな。他の既得権益層は露骨に利益誘導することはわかる。マスメディアは権力の横暴には批判的になっても良いと思うのだが、逆に阿っている。時に政治批判をしているように見せて、実はがっつり政権の味方だ。この偽善ぶりが甚だしい。人々の目にする機会が圧倒的に多いためにその罪は大きい。こりゃもう洗脳だ。戦後、報道機関としても長いこと君臨し続け、じーさんばーさん世代はマスメディアが言ってることは何でも正しいと思ってる(人が多いと思う)。政治的な無関心を全世代的に植え付けているのもマスメディアだ。日本の滅びを加速させてる。そりゃスポンサーありき、電通ありきで、身動き取れんのかもしれないけれど、(じゃNHKはどうなんだといえばこれまた酷いことになってて)、結局自分の首を絞めてるんじゃないのかなあ。でもこの仕組みでは無理なんだろうな。。。官僚の上から目線も、縦割りの弊害もそうだし、内部からの変革なんてできてたらもうやってるだろうしね。というようなことを思うことによる閉そく感の増大かな。

 映画『RRR』が日本でロングランだ。私も5回観てしまった。100回以上観てる人もいるらしい。勝手な想像なんだけれど、コロナ禍に加えて、特に日本の閉そく感は増してしまったので、日本人にこの映画は強烈なカタルシスを与えるのではなかろーか。そんな大雑把な・・・。例えば決めポーズシーンのカッコよさとかも魅かれるのかな。見えを切る、という言葉があるので日本人は特に感動するのかしら。。。ストーリーやキャスト、音楽、踊り、がいいんだと言ってもねえ。確かに。でもそう言いいながら、そのどこがいいのかうまく説明できん。誰かから説明されても、そうだそうだと思うだろうが、そうだと思う前に既に魅かれてるので、説明は後付けだ。『エチカ』に、善悪は、先に喜びと悲しみの感情があって善悪は後付けだ、とある。この映画は何々ゆえに最高だ!というのは既に身体的に喜びと感じてるからだものね。かつその喜びと感じてる原因を我々は知らない。

 おっと『政治はケンカだ!』から逸れてしまった。閉そく感を結果として意識する。ではその原因は何か。。。「愛とは外部の原因の観念を伴った喜びで、憎しみとは外部の原因の観念を伴った悲しみ」(エチカ)と、閉そく感は外部の原因の観念を伴った悲しみ、かなあ。しかし、外部の原因は無限に凌駕される(エチカ)、と・・・。